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銀投資、結局どっちが正解?「ETF vs 現物」徹底比較で見えた最終結論

はじめに

「貴金属投資」と聞くと、多くの人が金を思い浮かべます。しかし、金は今や1グラム1万円を遥かに超える高嶺の花。そこで今、熱い視線を浴びているのが**「銀(シルバー)」**です。

最近、ニュースで銀価格の高騰を目にしませんか? 「銀ならまだお小遣いで買える!今のうちに仕込んでおきたい!」

私もそんな期待から銀投資に興味を持ちました。しかし、いざ始めるとなると迷うのが「買い方」です。データ上の数字でしかないETFよりも、手元に実体がある「現物」の方が、何かあった時も絶対安全だと思ったからです。

しかし、詳しく調べれば調べるほど、**「銀ならではの厄介な性質」「現物保管の厳しさ」**に直面しました。一方で、ETFにも「市場が止まる」という隠れたリスクがあります。

この記事では、なぜ今これほど銀が上がっているのかを解説した上で、ETFと現物、それぞれの「リアルな現実」を比較し、私がたどり着いた結論を公開します。


1. なぜ今、銀価格が「爆上がり」しているのか?

まず、投資をする上で知っておくべき「前提」を共有します。昨今の銀価格の大幅な上昇は、単なるバブルではなく、明確な理由があります。

① 止まらない「産業用需要」の爆発

金(ゴールド)は宝飾品や資産としての需要がメインですが、銀はその半分以上が「産業用」として使われます。特に大きいのが「太陽光パネル」と「電気自動車(EV)」、そして**「AI半導体」**です。

世界的な脱炭素(グリーンエネルギー)の流れにより、太陽光発電の導入が加速しています。太陽光パネルには銀が不可欠であり、この需要が近年、過去最高レベルで急増しているのです。

② 慢性的な「供給不足」

需要が爆発しているのに、鉱山からの供給(生産量)は簡単には増えません。 貴金属調査機関のデータを見ても、銀市場はここ数年、**「需要 > 供給」の供給不足(赤字)**の状態が続いています。

③ 今後の見通し:上昇トレンドは続く?

「モノが足りないのに、欲しい人が増えている」。経済の基本原則からすれば、価格は上がるしかありません。 構造的な供給不足が解消される目処は立っておらず、専門家の多くが**「銀価格の上昇トレンドは長期的にも継続する可能性が高い」**と予測しています。

だからこそ、今からでも銀投資を始める価値があるのです。では、どうやって買うのが正解なのでしょうか?


2. 結論:目的によって「正解」はこれだけ違う

ここからは「買い方」の話です。あなたの投資スタイルによって、選ぶべき道は明確に分かれます。

  • 資産形成・利益重視の人(価格上昇の恩恵を受けたい) → **「ETF」**が正解
  • 国家破綻レベルの有事に備えたい人 → **「現物」**が正解

なぜ私が最終的に「ETF」を選んだのか。それは、現物投資が想像以上にハードな「場所」と「手間」との戦いだったからです。


3. 「銀の現物」は、金とは別格に難しい

「金貨を買う感覚で銀貨を買ってはいけない」。これが私が学んだ最大の教訓です。理由は2つあります。

① 体積がヤバい(場所問題)

これが最大の盲点です。金と銀の価格差は現在約80倍以上。つまり、金と同じ金額分を銀で買おうとすると、重さと体積は80倍以上になります。

  • 100万円分の金:約70g(手のひらに収まるサイズ)
  • 100万円分の銀:約5.8kg(ちょっとした鉄アレイ)

5kg以上の金属の塊、どこに置きますか? 家庭用金庫には入り切らないかもしれません。

②保管が大変

銀は空気中の硫黄分と反応して黒ずみます(硫化)。「買ったら金庫に放置」ができる金とは違い、銀はメンテナンスが必要な「生き物」に近いのです。

そういえば、私も高校時代に当時付き合っていた彼女とシルバーのネックレスを購入したのですが、すぐに錆びて黒くなっていたのを思い出しました。

その時は、「表面を削る」や「薬液に漬ける」といった方法で何度もメンテナンスしていたのを覚えています。(懐かしい、、、)

本気の銀投資家(スタッカー)が行っている保管手順を一応掲載しておきます。


1.素手で触らない(手の脂は変色の原因に。綿手袋が必須)
2.コインカプセルに入れる(専用ケース)
3.「真空パック」する(空気に触れさせない)
4.乾燥剤・脱酸素剤とともに封印(湿気対策もできたら尚良い)

    「うん、無理!」

    そう自問した時、私の心はETFへと大きく傾きました。


    4. ETFのメリットは「圧倒的な身軽さ」

    現物の苦労を知った後だと、ETFのメリットが輝いて見えます。

    • 保管コストゼロ: 場所も取らず、カビもサビも気にしなくていい。
    • 売買が早い: 5kgの銀塊を売るには店まで運ぶ重労働が必要ですが、ETFならスマホタップで一瞬です。
    • 適正価格で買える: 現物は加工費などが上乗せされ、買った瞬間に20〜30%の含み損(スプレッド)を抱えますが、ETFなら市場価格で取引できます。

    5. 知っておくべき「ETFの闇」と市場停止の歴史

    「じゃあETFが最強で、リスクはゼロなの?」 いいえ、そうではありません。現物派がETFを避ける最大の理由、それが**「市場機能の停止リスク」**です。

    ETFはあくまで金融商品。取引所のシステムやルールの上に成り立っています。歴史を振り返ると、その前提が崩れた事件が実際に起きています。

    過去に起きた「市場が止まった日」

    • LMEニッケル事件(2022年): ニッケル価格が異常高騰した際、取引所は**「売買停止」を行い、さらに「成立したはずの取引を白紙撤回(キャンセル)」**しました。投資家の利益が、システムの都合でなかったことにされたのです。
    • 銀の木曜日(1980年): ハント兄弟の買い占めで銀価格が高騰した際、取引所は突然ルールを変更し、**「新規の買い注文を禁止(売り決済のみ許可)」**しました。これにより銀価格は大暴落しました。

    それでも私がETFを選ぶ理由

    「市場が止まるなら、やっぱり現物?」と思うかもしれません。しかし、コロナショックの初期を思い出してください。

    銀価格が暴落した際、世界中の現物市場では**「モノがない(売り切れ)」**という事態が起きました。物流が止まり、現物が手に入らなくなったのです。 つまり、世界的な大混乱の時は、ETFだろうが現物だろうが、思い通りには動かせないのです。

    それなら、平時の利便性が高いETFをメインにしつつ、「最悪の事態」は頭の片隅に置いておくのが現実的な解だと私は判断しました。


    6. あなたはどっち?銀投資・判断チャート

    いろいろ書きましたが、結局どっちにすべきか? 迷う時間を減らすため、簡単なチェックリストを作りました。

    • Q1. 銀を買う目的は?
      • 昨今の産業需要増による価格上昇の波に乗りたい → ETFへ
      • 文明崩壊や預金封鎖に備える保険 → 現物へ
    • Q2. 自宅に「5kgの鉄アレイ」を置くスペースと防犯対策はある?
      • ない・家族にバレたくない → ETFへ
      • ある・金庫もある → 現物へ
    • Q3. 買った瞬間に「-30%」の損を抱えても平気?(高い手数料)
      • 嫌だ、効率的に増やしたい → ETFへ
      • 平気だ、10年以上放置するから誤差だ → 現物へ
    • Q4. 「食品用真空パック機」を買ってメンテナンスする情熱はある?
      • 面倒くさい → ETFへ
      • むしろ楽しそう!コレクションしたい! → 現物へ

    まとめ:私の最終結論

    ここまで検討した結果、私は以下のスタイルに落ち着きました。

    1. 投資のメインは「ETF」 上昇トレンドが続く銀相場の利益を享受するため、流動性が高くコストの安いETF(例:東証1542「純銀上場信託」など)で運用する。
    2. 現物は「お守り」として少しだけ 「真空パック」の手間を楽しめる範囲で、きれいな銀貨を数枚だけ購入し、机に飾って愛でる。

    これが、ストレスなく銀投資を続けるための、私なりの最適解です。 「利益」はETFで、「所有欲」は少量の現物で。 白黒つけずに、それぞれのいいとこ取りをするのが、賢い銀との付き合い方ではないでしょうか。

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